地理の窓口

中学受験から大学受験まで、地理を学ぶ人たちのためのおせっかいサイト

九州の地誌その2

長崎県は「漁業県」とイメージできるということは「その1」で説明しました。今回は「畜産県」です。

九州の中の「畜産県」とはどこでしょうか?

というか、全国的にも畜産が進んでいる地域、ということができるでしょう。

もちろん、答えは宮崎県です。

 

では、質問を変えましょう。なぜ、宮崎県は畜産が盛んなのでしょうか?

中学受験レベルだと、宮崎はピーマン!と覚え、さらに促成栽培!なんて言葉とセットで覚えていたことでしょう。

それは確かに正しい!実際ピーマンの生産量が全国でもトップクラスであることには代わりがありません。ところが、宮崎県と言ったら畜産が盛んなのですね。肉用の牛の頭数は全国第3位、肉用の鶏は第1位です。

長崎県を思い出して下さい。農林水産業、歴史、工業など自然環境が密接に関わっているというお話でした。長崎県はリアス海岸が発達しているため、湾の水深が深く、大型船が入りやすいなどなどの背景があったのでした。

こうした自然環境は、人間の生活に大きな影響を与えているわけです。

宮崎県を地図で見てみてください。一目瞭然ですね。入り江がすごく少ないです。日向灘として、単調な海岸線ががどこまでも続いています。このような海岸はもともと海底だった土地が隆起してできたところと考えられます。宮崎平野は、もともと海の中にあったものです。だから、真っ平らな平野なのです。海の中での土砂の堆積はとてもゆっくりしたもので、本当に真っ平らなのです。このような海の中でできた後に、地盤が隆起してできた平野を地理用語では「海岸平野」と言います。海岸の近くにあれば、なんでも海岸平野というわけではありませんよ!

海岸線が複雑ではない、単調ということは、魚の生息にはあまり都合はよくありません。それは長崎の項目で説明した通りです。漁業はイマイチだけど、宮崎県には広い平野がある。それを最大限活用して、「畜産県」となったわけです。もちろんピーマンも同じです。

 

さて、ここで2つ目の質問です。ピーマンと鶏肉、どちらの値段が高いでしょうか?

おいおい!バカにした質問するんじゃないよ!というところでしょうかね?失礼しました。ここは単位重量あたりを比べましょう。ピーマン100グラムと、鶏肉100グラムのどちらが高いですか?ということですよ。

もちろん鶏肉が高いのですが、それはなぜですか?スーパーマーケットで、買い物をしながら、そこまで考えてみてほしいものです。

鶏肉100グラムを取るためには、ピーマン100グラムを収穫するよりも、はるかに多くの飼料が必要なはずです。動物を育てるわけですから。農業生産額が全国第7位ということは、金額の高い農産品を作っている、ということを意味しています。つまり、数字だけ見ても畜産の割合が高いということが察せられるようようになりましょう。

宮崎県で漁業がイマイチという言い方をしてきましたが、そうとも限らない、というのもまた事実です。マグロは第2位、カツオ第6位とは、どこがイマイチなんだ!といえそうですね。これは、マグロやカツオが沖合ではなくて、かなり遠くで漁業をするということです。その漁港としての基地は日南市や志布志湾などの南部で、ここは海岸平野ではないということが地図を見てわかりますね。

 

(なお、データはすべて2011年です。)

 

ここで一句

 

ピーマンの 肉詰め食べれば 宮崎県

 

ではでは