地理の窓口

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九州の地誌その5

「あんたがったどっこさ、○○さ、○○どこさ、熊本さ。」

歌えますか?まりをぽんぽん地面にたたいて、昔の小学生がよくやっていたやつです。と、今の時代はこのような曲を歌いながらやりませんかね?今風にいけばドリブルなんですが、、、、

で、問題は○○に当てはまる語句を答えてください。

この歌を知っていればすぐできるのですが、答えは「ひご」ですね。

では、「ひご」を漢字で書くとどうなりますか?

肥後ですね。これは旧国名です。今の熊本県となります。旧国名は都の京都に近いところから、前・中・後と付けていくので、肥後のすこし京都寄りは肥前となります。これは今の長崎県佐賀県です。

えっ?熊本県から長崎県?反対方向では?と思ったら正しい地理感覚を持っているといえるでしょう。ですが、今の佐賀県長崎県が一体化しているので、熊本から福岡に向かう途中に佐賀県を通過しますから、これは正しい言い方ということになります。

この、熊本の肥前の漢字を同じ発音で置き換えたのが「火の国」というわけです。熊本県には活火山の阿蘇山があります。この火山を火の国とだぶらせた表現なのです。

 

さあ、今回は九州の火山の話です。

中学受験レベルの問題を出題します。

九州の火山を挙げてください。

阿蘇山雲仙岳霧島山、桜島、おっと九重連山をわすれてた!こんなところでしょうか。

地理の学習の大事なことを2つ言っておきます!こういうのは思い出した時に言っておかないと!

まず1つ目は、地図上でどこにあるのか?ということがきちんとわかるかどうかです。白地図を見せられた時に、雲仙はここ!と指で指せなければ意味がありません。それができるようになるためには、日頃から地図を広げて学習するしかないのです。

まさか、地理の学習をするときに、テキストだけを開いて丸暗記なんかしていないでしょうね?!

地図帳を常に開いて、マメにページをめくる、その地道な作業の積み重ねでしか、地理の成績を伸ばす道はないのです。

2つ目は、理屈をきちんと理解してください、ということです。このことはこれまでにも言ってきていると思います。

長崎県はなぜ漁業が盛んなのですか?

九州で電子部品工業が盛んなのはなぜ?

という、事柄の背景まで自分の言葉で説明できて、初めて理解した、ということができるのです。授業で話を聴いて、わかったつもりになっている人、多いでしょう?自分で言い直してごらん!と問うと、とたんに何も説明できなくなってしまう人が多々います。日頃から、自分の言葉で説明をするシミュレーションをして下さい!

 

おっと、火山の説明だったのにいきなりの説教モードになってしまいました。なぜか?だって、九州の火山の確認をしていて、その火山が何県にあるのかすらわかってないというのでは話になりませんよ!確認しておいてください。

 

もう一つ、地理を丸暗記にたよっているか、判断基準があります。

日本の活火山をチェックしていくと、九州に火山が集中していることに気付きますか?さらに中部地方から東北に活火山が多いこともわかりますか?

つまり関西から四国、中国地方には火山らしい火山がほとんどありません。このことに全く疑問を感じずに地理学習を進めているということは、はっきり言って地理を暗記科目だと勘違いしている証拠です。

「気付いていたけど、理由はよくわからない。」地理の学習の始めは、これでもよいのです。何事も疑問を持つことは大切です。世の中のすべてが、始めから解決しているなどということはないのですから。でも、「気づく」ということは、もっと大切なのです。

 

九州に火山が集中しているのはなぜか?簡単に説明しておきますね。もちろん、中学受験から大学受験まで、ここまで出題されることはないと思います。

さあ、日本列島とその周辺が見渡せる地図のページを開いて下さい。小笠原諸島まで見えますか?父島母島です。ここから伊豆諸島、伊豆半島まで一直線に並んでいることがわかりますか?このラインを火山フロントと言います。タネはこの一直線の東側に、同じく一直線に平行して伸びる日本海溝があることを確認してください。

難しいですが、太平洋の海底を構成するプレート部分が日本列島の下に沈み込んでいるのです。地下深くに潜り込むと圧力で温度が上がります。そこで、マグマを作り出して地上に吹き出してくる、これが火山の原理です。海溝からもぐりこんで、火山を作りだす。だから日本海溝と伊豆・小笠原火山帯は平行してるし、地下で連動しているというわけです。

これが、九州の火山分布のヒントになります。今から2000万年前は日本海ができる直前です。日本海ができていないということは、日本列島そのものがまだ骨格すらできていないという状態のことです。この頃から、伊豆・小笠原のラインは火山フロントでした。ここでできた海底火山は、ベルトコンベアに載るようにして、ずっとに西に移動してきました。と、同時に日本海が開き始めます。伊豆・小笠原で誕生した海底火山は、現在の九州骨格の直前で海底に沈んでいました。海底火山がまだ熱いうちに地中に引きずり込まれる、ということは地下に熱がたまり、それが一気に火山を作るという流れです。これが九州に火山が多い、という理由であり、同時に中国・四国地方には火山が少ないわけなのです。

さらに言えば、阿蘇山は火山の形式としてはカルデラと言います。今ある阿蘇山ではなく、昔はもっと大きな火山があったと考えられています。それが、巨大噴火を起こして、地盤崩壊してカルデラが出来た、というのです。現在の阿蘇の周りには外輪山がぐるっとかこっています。これが、昔の巨大火山の輪郭の名残です。

ふーん、そうかあ、と納得しないでください!

ここで「気づいて」ください!

そんな巨大な火山と噴火が、どうして阿蘇山なのですか?なぜ九州なのですか?不思議だなあ。でも、もう理由もわかりましたよね。

 

さあ、火山の名前を丸暗記することなく、地図上で位置の確認、火山のできる背景をきちんと、自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。

 

ここで一句

 

 外輪山 地球サイズを 感じよう

 

ではでは