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アメリカ合衆国の地誌その4

問題です。

カーネーションとはどういう意味か答えてください。」

はっ?それって花のことでしょう?

おっと、失礼しました。質問し直します。

デトロイトと掛けて、カーネーションと解きます。その心は?」

 

「アメリカの母」というあたりでいかがでしょうか?もっといい答えがありそうですね。

 

デトロイトはアメリカの自動車産業の中心と言ってよいでしょう。ここに本社を置くGMゼネラルモーターズ)は1908年の設立です。以後、アメリカ合衆国は車社会を歩みます。つまり「カー」「ネイション」ですね。

母の日の起源はアメリカで、娘が母の好きだった白いカーネーションを教会で配ったのが始まりと言われています。これが1907年。

どちらもアメリカの経済が大きく発展する頃で共通しているところが興味深いですね。

 

本題に入りましょう。

カーネーション、つまり花卉(かき)栽培の農業形態を何というのですか?

もちろん園芸農業ですね。花だけではなくて野菜の栽培もします。

共通する点は、鮮度が求められるということですね。今朝収穫した花や野菜を、できればその日のうちに、家庭に届けたい。ということは、都市の近郊に園芸農業が発達するわけです。

東京でも、都心から30分くらい離れたところで、生産緑地などと看板があり、野菜を作っている農家がポツポツと今でも見ることができます。こういうのは、典型的な園芸農業の形態です。

園芸農業のことを近郊農業というのは、この意味があるからです。もちろん、買ってくれるお客さんがいなければ話になりませんから、園芸農業の発達の条件として消費地が近くにあること、というのが欠かせません。つまり、都市と近郊農業はセットで考えなければならないわけです。

この考え方は、酪農も同じでしたね。アメリカ合衆国五大湖周辺で酪農が発達しているのは、五大湖周辺に大都市があることが背景にあります。その意味では、酪農と園芸農業は似たような分布傾向を示すということになります。

アメリカ合衆国の農業分布で、ニューヨークやワシントンなどの近郊で園芸農業が発達しているのは、同じ理由によります。

一方、五大湖からもっと南を目指すとどのような農業分布になるのか?ということです。

アメリカの農業は基本的に適地適作です。栽培できるものがあれば、大規模に生産する、それをヨーロッパを始め、世界各国にどーんと輸出をする。というイメージでよいでしょう。教科書に写真などが出ていますが、収穫する時のコンバインなど、とてつもなく大きいですね。

さて、五大湖の南側は巨大なコーンベルトです。トウモロコシを大規模に栽培しています。そして、さらに南にはコットンベルトが広がります。綿花栽培です。

トウモロコシは、秋に醤油をつけて炭火でゆっくりと焦がしながら食べる、なんともいい香りが漂ってきそうなイメージです。でも、トウモロコシは基本的に飼料作物です。合衆国で言えば肉牛の餌になります。この飼料にいろいろと混ぜ物をして、牛にたっぷりと肉をつけます。これを肥育といいます。

 

五大湖周辺では酪農なので、そこで飼育される牛は何ですか?

乳牛=雌牛ですね。

コーンベルトで飼育される牛は何ですか?

肉牛=雄牛ですね。

つまり成人?成牛?したオスとメスは別々の場所に連れて行かれる人生?牛生を歩むのです。完全に人間の管理下に置かれている牛のことを考えたら、牛肉を食べ残すとか、牛乳をこっそり流しに捨てるなどということは言語道断ですよ。翌日、朝起きたら牛になっていますよ!

さらに、乳牛は乳を搾り取られて、もう出なくなったら、最後は牛肉を提供して一生をおえるのですから。本当に感謝です。

 

ここで一句

 

ビーフシチュー ホワイトソースと 感謝せり

 

ではでは