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九州の地誌その4

い草の生産が最も多い県はどこですか?

とは中学入試レベルですね。もちろん熊本県です。

では、質問を変えましょう。

県の製品出荷額の割合のうち、電子部品が占める割合が、全国平均よりも高い九州の県をすべて挙げてください。

んっ?ちょっと問題文を読んだだけでは意味がよくわかりませんね。細かく読み解きましょう。

日本の製造品出荷額のうち、電子部品は割合は5.7%です。この割合よりも多い県はどこか?ということです。つまり、九州で電子部品の製造が盛んな県はどこですか?ということです。

先ほど熊本県を聞きましたから、これは入っていそうですね。

シリコンアイランドという言葉があります。シリコンとはケイ素のことで、これは元素の1つです。この元素はちょっと面白い性質があります。条件によって電気を通したり通さなかったりするのです。電気を通すものを「導体」、通さないものを「不導体」と言います。では、シリコンのような物質は何と言うのか?「半導体」というわけです。半分だけ電気を通す、という意味ではありませんよ。

このシリコンの性質を利用したものが電子部品です、と言っても言い過ぎではありません。日本が製造を得意とする半導体技術は、先端技術産業には欠かせません。パソコンやスマホの中に入っている電子部品は、ほとんどが半導体製品というわけです。

そこで、「シリコンアイランド」という言葉の解釈ですね。「電子部品の島」という意味になります。島とは九州を指しています。

九州はそんなに電子部品の製造が盛んなのか?という最初の質問に戻ると、全国平均以上の県は、長崎県佐賀県熊本県、宮崎県、鹿児島県となります。なんと、福岡と大分を除いたすべての県で、電子部品の製造が平均以上なのですね。

そこで、半導体の工場がどこにありますか?ということになります。

鹿児島を例に考えてみます。

鹿児島市内からはどこからでも桜島が一望できます。この市内から空港連絡バスで1時間ほど走ると、鹿児島湾の一番奥からさらに内陸に入った丘の上にある鹿児島空港に着きます。この時、途中に国分(こくぶ)というところを通過しますが、そこにソニーの工場を見ることができます。またホテル京セラもあります。

つまり半導体関連の工場は、鹿児島市内にあるのではなく、空港に近いところにある訳です。そりゃそうですよね。市内は人口が密集していますが、広い土地がありません。空港は郊外にあるわけですから、この近くで広い土地を手に入れることはできそうです。

さらに、出荷した部品を空港に運び、そこから航空機で出荷するというわけです。

こうのような立地条件を備えていて発達してきたのが、先ほどの九州各県の電子部品出荷額の割合が全国平均よりも高いということなのです。工業立地の形態分類では「臨空港立地型」ということになります。空港ー平野ー広い土地ー労働力 というのがキーワードとしてつながります。

熊本空港も阿蘇山の麓から市内に向かう途中に、いくつもの半導体工場を見ることができます。

 

ここで一句

 

火の国で スマホとい草 お家芸

 

ではでは