地理の窓口

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アメリカ合衆国の地誌その7

問題です。アップルコンピュータの本社の所在地はどこですか?

おっと、これはSiriで尋ねたら、すぐに答えてくれそうですね。

答えは「クパチーノ」ですね。

と言っても、それはどこ?という感じです。これを地理の教科書ふうに答えると、シリコンバレーということになります。ヴァレーと表記しても大丈夫です。

「シリコン何何」という言い方は、中学の地理でやりますね。シリコンアイランドは九州、シリコンロードは東北自動車道という具合です。そこで、シリコンという言葉が気になります。何のことでしょうか?

シリコンは元素の1つで「ケイ素」と言われます。14番目ですね。

それがどうして地理で覚えることになるのか?ということです。この元素の化合物には、ちょっと面白い性質があるのですね。簡単に言うと、条件によって電気を通したり、通さなかったりするのです。電気を通すものを「導体」と言います。電子を導くからですね。例えば鉛筆の芯などは導体です。一方、電気を全く通さないものは「不導体」です。紙などは不導体というわけです。

さて、人間はどちらですか?

導体ですよ。電気を通しますね。だから雷が落ちてくるのです。体の中にはナトリウムやカリウムなどの電解質があり、これが心臓の鼓動を導いているのです。人間の体が電気を通さなくなったら、心臓が動かなくなってしまうことになります。

おっと、話がそれてしまいました。じゃあ、「半導体」はどんな性質を示しますか?まさか半分だけ電気を通すなどという答えはダメですよ。

その答えが、条件によって電気を通したり、通さなかったりすることなのです。そうです。ケイ素の化合物の性質そのものなのです。

この性質を利用したのが、先端技術産業ということになります。スマホの中はこのケイ素をはじめとする半導体が使われいてるわけです。

ここで、地理の話に戻ります。「シリコン何々」という言い方は、つまり先端技術産業に関係する何かを意味しているのです。九州の空港近くには半導体工場があり、航空機で輸送していますので、九州全体をさして「シリコンアイランド」=半導体の島!という表現をするのです。同じく、東北自動車道インターチェンジの近くにも半導体工場があります。製品は、高速道路ですぐに輸送するのに便利な場所だからです。よって、東北自動車道は、半導体製品を運搬するトラックが頻繁に行き来することから、「シリコンロード」と呼ばれているのです。と言っても、それは地理の教科書の話であって、実際に東北自動車道に(シリコンロード)なんて表記されていませんし、ラジオの道路交通情報で、「シリコンロードは久喜インター付近で、20キロの渋滞となっています。半導体部品の運搬には、2時間以上の遅れが出そうです。」などとは、間違っても絶対に言いませんよね

では、シリコンバレーです。バレーはヴァレー、つまり「谷」です。

地図で、アメリカ西海岸のサンノゼを確認しておきましょう。ここが、シリコンバレーの中心都市です。テストでサンフランシスコと都市名を答えるとバツになります。ちゅういするところです。でも、地図上でどこにあるかわからない、ということのないように注意しましょう。

さて、このあたりはロッキー山脈に平行するように南北方向にいくつもの山脈が走っています。シリコンバレーは、ちょうどこの山脈の谷間にあるために、ヴァレーなわけですね。

シリコンバレー」という地理用語を覚えることは簡単です。覚えてしまえばテストで確実に点は取れるでしょう。でも、用語そのものの意味を理解しなければ、本当に覚えたとは言えません。そもそも、丸暗記はすぐに限界がきて覚えるのがイヤになります。イヤになったら、地理は嫌いになります

用語を一度分解して、意味を理解するのはめんどくさいことなのですよ。シリコンの電気がどーのコーのと理屈っぽいことを並べられても、興味が湧かないという人はたくさんいるでしょう。だから丸暗記に走り、結局は地理が嫌われるのは、そんな背景があるわけです。

よい子の皆さんは、地理用語を一度分解して考え直しましょうね!

 

おっと、シリコンバレーの気候についても触れておきましょう。大切なところです。

アメリカのカリフォルニアの気候は、ケッペンの気候区分ではCs=地中海性気候です。この気候の特徴は、夏に乾燥するのでしたね。まあ、冬だって雨量は多くありません。この地方の降水量は年間で、ざっと700ミリ程度なので、東京の半分くらいと覚えておきましょう。

半導体などの精密機器は湿気を嫌いますので、乾燥した気候がシリコンバレーの発展と関係している、などと言われることもありますが、じゃあ、この理屈を当てはめるならば、日本は半導体生産や研究はほとんど出来なくなってしまいますよね。

空調や空気清浄システムが完備されている現在としては、気候をそこまで気にしなくてよいということも出来るでしょう。

 

ここで一句

 

アップルは 降水量が 少なめです

→青森と長野の年間降水量は、サンフランシスコと若干近いものがあります、、、

 

ではでは