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九州の地誌8

九州・沖縄地方として1つの単元でまとめますが、ここでは鹿児島県の離島以南全部をまとめておきましょう。

では、ここで問題です。

南西諸島で、最も高い山はどこでしょうか?島の名称、山の名称、標高を答えてください。

これは、知らなければ全く答えられませんが、知っている人にとっては、なーんだ!というレベルの問題です。答えは屋久島の宮之浦岳で1936mです。頑張って覚えましょう。

九州本島の代表的な山を挙げてみましょう。

阿蘇山1592m、霧島連山韓国岳(からくにだけ)1700m、九重連山1791mという具合です。あれっ?九州の本土をすべて含めても、屋久島が最も高い山ですよね。これは意外と見落とされがちなので、覚えておきましょう。

およその数というのは、丸暗記してしまうと、いろいろな場面で数値比較して使えます。

みなさんも、何か買い物をする時に、「あっ、これは別の店で安売りしていて、そちらの方が20円安かったぞ!ここで買うのやはめよう。」と思うことがありますよね。あるいは、「定価の20%引き」と表示がされていた時に、とっさに8掛をして、だいたいの値段を考えて、本当に得しているか考えますよね。

地理は暗記ではなく、理論を考える科目なのですが、同時に暗記しておくことで、瞬時に物事の判断をする科目でもあるのですね。ここの使い分けができなくて、やみくもに丸暗記で苦しむ受験生が多いので、しっかりと内容を見定めてくださいね。

おっと、話がジェット気流に流されてしまいました。進路を戻します!

 

1月、2月と北西の季節風が激しく吹いてくると、日本海にすじ状の雲がぎっしりと埋まります。天気予報の気象衛星の画像でおなじみですが、見たことありますか?

この北西からの季節風が高い山にぶつかると、特殊な渦巻きを生じます。これをカルマン渦と言います。九州では屋久島の南東側にこのカルマン渦の雲が、気象衛星の画像に見られる時があります。これは感動ものです!台風の目がはっきりと渦を巻くよりも、もっと感動できますが、皆さんはいかがでしょうか?一年に数回しか見られませんので、今度天気予報の気象衛星の画像をチェックしてみてください。

これは、周りに高い山がなく、独立峰になっているために、渦巻きの現象が起きるようです。韓国のチェジュ島でも、同じような渦が南東側に発生することがあります。チェジュ島の最高標高も1950mで、屋久島と同じような地形条件をなしています。

さて、南西諸島を南下して行きましょう。最初が種子島屋久島です。東側が種子島です。屋久島とは対照的に平坦な島です。

 

日本の歴史では、「ポルトガル人によって種子島に鉄砲伝来1543年」と丸暗記ですね。なぜ、ポルトガル人なのか?なぜ1543年なのか?なぜ、種子島なのか?と疑問に思ったことはありませんか?

こういう素朴な疑問を感じることが、学問の第一歩です。学問なんて難しく考えることはありません。好奇心は人生を楽しく生きる財産です。丸暗記ばかりやっていると、感じる心がなくなってしまいますから注意してくださいね!

で、簡単にその答えを。

1500年代は大航海時代で、ヨーロッパの国々が世界の海に繰り出していた頃です。当時のヨーロッパは、自分の国に資源を安定供給するために、海外に植民地を求めて、我先に新天地を求めていました。そこで、東南アジアの国々が、ヨーロッパの植民地となります。イギリス、オランダ、フランス、そしてスペイン、ポルトガルです。

こうした東南アジアには中国も進出していますから、そこで様々な国の人たちが情報交換することができます。そんな中で、どうやら日本という国にみんなが興味を持ったようで、次々にやってくるわけです。わざわざヨーロッパからやって来たというよりも、東南アジアから一歩足を伸ばして、日本をのぞきに来た、という感じです。

だから、ポルトガルは中国の船を水先案内に日本を目指したというわけです。だって、いきなり金髪の白人がやってきたら日本人はびっくりして付き合ってくれないかもしれない、でも中国だったら、日本と昔から交流があるから、安心して商売の段取りを付けてくれるかもしれない、と考えたのでしょう。

ところが、この東シナ海から南西諸島は台風のシーズンになると、波が高くなり、とたんに航海の危険性を増してくるわけです。種子島も狙ってやってきたわけではなく、たまたま船が漂着したというのが真相のようです。

ここで、商売開始!となるわけですが、ちょっと予算オーバーして鉄砲を2丁買うのですね。1つは分解して構造を解明して、国産品を作ることに成功します。なぜか?当時の種子島は良質の鉄を産出していたのですね。ということは日本刀の製造技術も持っていました。この技術を鉄砲の量産に応用したわけです。屋久島では鉄はほとんど採れません。島の形や標高を見比べたら、自然環境が大きく異なることがわかります。

もし、ヨーロッパが東南アジアに進出していなければ、、、、もし、中国が水先案内を断っていたら、、、もし種子島でなく屋久島に漂着していたら、、、、と考えると、その後の日本の歴史は大きく変わったことは間違えないでしょう。想像するだけでも、なんかだおもしろそうです。

歴史の学習は年号の丸暗記ではありません。地理と同じです。自然環境の上に人々の生活があり、その人々の生活の歴史を学ぶわけですから。社会科の学習には、ぜひ自然環境を!

 

さて、種子島屋久島の南には十島村があり、口之島、諏訪之瀬島、悪石島などが連なっています。鹿児島から定期航路が週に1便来るのですが、一部の島では、店らしい店もなく、物々交換が日常的に行われているところもあるようです。こうした小さな島で、最も大切なのは「水」です。ですから、島の最も高いところは神様のいる森として、子どもも絶対に立ち入り禁止にして、水資源を守っているそうです。

次に奄美大島と喜界島、徳之島、沖永良部島与論島と続きます。ここまでが鹿児島県です。このあたりの島は子どもの数か多く、合計特殊出生率が高くなっています。

鹿児島県の離島が終わると、次が沖縄本島ですから県境は本島のすぐ北側にあると覚えてきましょう。テスト対策的には、重要箇所です。

沖縄本島を過ぎると、宮古島石垣島西表島与那国島の順です。

沖縄県と全国都道府県の統計データを見ると、かなり特殊な数値を示すことがありますが、これは島のみで構成されている、亜熱帯気候である、という自然環境の条件のみならず、米軍基地の問題も関係しているからです。

 

主なデータでは、サトウキビとそこから採れる粗糖の生産は日本一で、シェアは50%以上です。(2012・2013)

また、第3次産業は70,6%で、かなり高い数値となっています。(2012)この数値が70%を越えるのは、首都圏と関西圏の、いわゆる大都市圏と北海道、宮城=仙台、福岡となりますので、沖縄県の背景が見て取れます。製造業の割合が他よりも少ない代わりに、宿泊・飲食サービス業の割合が他よりも、若干高く出ています。

 

 

ここで一句

 

 黒砂糖 黒潮の風 サトウキビ

 

ではでは